最近はコロナウイルスの影響での内定取消しが社会問題になっておりニュースにもよく取り上げられています。
さすがにテレビの全国ニュースでは「内定取消しは違法だ」という見解は紹介されませんが、ツイッターやネット記事だとそういう見解が時々見られます。なかには弁護士がそのような見解を述べていることもあります。
そもそも刑事の問題ではない
「違法」と聞くと何かとんでもないことをやらかしたように聞こえますがそれだけだと非常に幅が広い概念です。そのまま聞くと逮捕されそうな、そんなように聞こえます。
しかし、内定取消しはあくまでも民事上の問題であり、刑事上の問題ではありません。したがって、逮捕されるということもありません。
内定取消しは違法ではない
正確には解雇のように取り扱われるということになります。
一般的には、内定を出した時点で会社と内定者との間に労働契約が成立したとみなされます。
労働契約が成立すると会社が内定取消しをすることが解雇類似のものとみなされます。
そして、その内定取消しが社会的にみて相当ではないとされた場合に初めて内定取消しが無効とされます。
このようにシンプルな枠組みですが、内定取消しをしただけで「違法」というのはおかしいです。
なぜなら、その内定取消しが相当性を欠いた場合に初めて内定取消しが無効とされるからです。
したがって、「内定取消しが違法だ」ということはあまり気にしなくても良いです。内定取消しが無効にされるという結論を先取りしたものだからです。
弁護士 芦原修一