社長や役員がコロナに感染したら…
大きな企業であればそれだけで直ぐに何か影響があるということはないでしょう。
もちろん上場会社であればそのことが世間に知れたら株価の下落要因となるかもしれません。
それとは別に、中小企業なら社長や役員が営業活動を牽引していることが多く、もしコロナに感染してしまった場合、営業活動が停止するおそれがあります。
内定取消しの理由になるのか
では、営業活動を牽引する社長や役員がコロナに感染し営業活動が停止してしまったら、それを理由として内定取消しができるのか検討します。
内定取消しについては主に、1)人員削減の必要性、2)手続の相当性の2要件が求められます。
営業活動の停止というのが1)人員削減の必要性にダイレクトに繋がるかというと、直結はしません。
しかし、同時に月次売上が2月、3月で激減したという事情があれば、それと相まってこの先の経営不振が堅い確度で予測できます。
そうすると、1)人員削減の必要性が認められることもあり得ます。
入院が長引けば…
社長や役員がコロナに感染し入院を余儀なくされたとして、さらに入院が長引くようなことがあればますます「人員削減の必要性」が高くなります。
内定者には申し訳ないですが、会社にとっても社長や役員の不在が続けばそれだけ不安でしょうし、新規に採用している余裕がないでしょう。
そうした状況下で内定取消しを検討することはやむを得ないと思いますし、その場合は腹を決めて内定者に対して丁寧に事情を説明しましょう。
弁護士 芦原修一