会社の規模にも依りますが、社長か取締役は出席するべきです。
そして労働審判を申し立てた労働者に近い従業員も出席するべきです。

弁護士 芦原修一

労働審判手続き全体の流れとスケジュール感を掴むには次の記事をお読みください。かなり詳しく説明しています。

事情に詳しい従業員が出席するべき

労働紛争はどのようなものにせよ細かな事実が積み重なって労働審判に至っているのでその事情に詳しい従業員がいなければ事実が明らかにならないからです。
それだけならともかく会社側の人間がいなければ、労働者側が主張する事実が真実であると裁判所に認められてしまいます。

労働審判のスケジュールと対応方法【会社向け】決定版

労働審判手続きにおいては争いのある部分、つまり会社側と労働者側とで主張が食い違っている部分について、どちらが言っていることがおよそ筋が通っているかが見定められます。
そこで労働審判委員会からその部分について質疑がされますが、事情に詳しい担当者がその場におらず社長だけだと何も答えられないか、又聞きの事実しか答えられません。
それは会社側にとって大きなマイナスですので、事情に詳しい従業員が出席するようにしましょう。

決裁権者も出席するべき

労働審判手続きはその場で折り合いを付けて解決をする制度ですが、会社の決裁権者がいなければどう折り合いを付けて良いか判断ができません。
したがいまして、決裁権者の出席も必須です。
忙しくてどうしても出席ができない場合には常に電話で連絡がとれるようにしておきましょう。

労働審判のスケジュールと対応方法【会社向け】決定版

労働審判手続きというのは基本的には双方の折り合いを付けて和解の成立を目指すものです。
実際に和解をするかはその日に決めれば良いのですが、その場に決裁権者がいなければ和解が成立しにくくなります。

なぜなら、労働審判官からの和解の勧告があるとして具体的な解決金額の提示を受けてもその場に決裁権者がいなければ電話で聞くことになりますが、電話に出られなければ交渉が停滞してしまいます。
そうすると労働審判委員会も労働者側もいつまでも待てませんので次回にしようということになってしまいます。
期日が進むにつれ和解は難しくなりますのでそれを望んでいるならともかく、選択肢を狭めない意味でも決裁権者が出席するべきです。

また「電話で連絡がとれるように」というのは単にスマートフォンの電源を入れておくだけではなく、電話が鳴ったら直ちに応答できる状態にしておくということです。

なお、決裁権者でありさえすれば社長でも取締役でもなくても構いません。

弁護士 芦原修一

ここまでお読みになられてもご自身で労働審判の対応は難しいとお考えでしたら、下のページに移動して弁護士に依頼することをご検討ください。