年間件数(労働事件全体・民事訴訟との比較を含めて)

労働事件の件数表
2000年の合計件数:約2000件
2010年の合計件数:約6500件
2019年の合計件数:約7200件

 
労働審判は、2006年(平成18年)から始まりました。
初年度こそ労働審判の件数は約900件に留まりましたが2019年(令和元年)では約3600件になりました。

前年度までは民事訴訟だけで労働事件を扱っており件数は約2500件でした。
それが2019年(令和元年)では労働事件の合計件数は約7000件になりました。

労働審判手続きが従来の民事訴訟よりも紛争の早期解決が可能になったことから利便性があること、労働者の権利意識の高まりからこれだけ労働事件の件数が増加しているものと思われます。

労働審判手続きで紛争解決が確定した割合

厚生労働省第11回 透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会(平成28年12月15日)の「検討事項に係る参考資料」より抜粋
上の表をグラフ化

既済とは、文字通り「終了した」という意味です。
労働審判手続きが終了したということで、例えば平成27年の合計件数は3674件ですが、その上のそれぞれの終局事由(手続きが終了した理由)により手続きが終了したのが3674件ということです。

平成27年の「調停成立」の項目を見ますと、2497件で全体件数の68%を占めています。
約7割ということでこの調停成立により労働審判手続きが終了することが多いのが分かります。
調停成立ということは労働審判手続きにおいて労働審判委員会の立会いの元、会社と労働者が話し合った結果、互いに譲歩した形で和解が成立したということです。
会社と労働者の双方が合意により調停が成立しますので、調停に対して異議を出すことはできません
つまり、調停成立の段階で紛争の解決が確定することとなります
会社の立場からしても、紛争の長期化は機会損失ですし、労働審判手続きで解決せずに通常訴訟に移行して数年かけて争うメリットはほとんどないものと思われます。

平成27年の「労働審判」の項目を見ますと、614件で全体件数の16.7%を占めています。
労働審判は、調停が成立しない場合に労働審判委員会が判決のような形で出す判断のことです。
労働審判は、会社と労働者が合意して出されるものではないので、2週間以内に異議を出せば通常訴訟に移行し、異議が出されなければ紛争の解決が確定します

平成27年の労働審判のうち、異議申立てがされたのは372件で労働審判件数のうち約60%を占めています。
それに対し、異議申立てがされなかったのは242件で労働審判件数のうち約40%を占めています。

調停成立と労働審判のうち異議申立てがされなかった件数の合計は2739件で、全体件数の74.6%です。
つまり、労働審判手続きにおいて紛争の解決が確定したのは全体の約4分の3ということです

労働審判手続きの期日は原則3回までであり、ほとんどの場合3ヶ月以内に終了するスピーディな手続きであることと併せて考えますと、早期に全体の4分の3の件数が解決する優れた手続きであると言えます。
現に、司法の世界では、「労働審判は司法改革の中で数少ない成功例だ。」と言われています。