都知事の「ライブハウスに行くな」

3月30日、都知事が会見で「ライブハウスなどには行かないよう」都民に求めました。
これは都民に対する「自粛要請」なのですが、ライブハウスを開いても良いのでしょうか。

営業することは自由

日本語としての解釈では営業しても良い

屁理屈と言われそうですがライブハウスのオーナーにとっては死活問題なのでできる限り営業しても良い解釈をしてみます。
「ライブハウスに行かないようお願いします」ということは、ライブハウスが開いていることが前提です。
そうすると、「(ライブハウスに対しては自粛すら求めることは難しいけど都民の皆さんは)ライブハウスに行かないようお願いします」ということになります。

法的にも営業しても良い

ライブハウスの営業ができるのは営業許可があるからですが、裏を返せば許可が取り消されない限りは営業することは自由です。
もっとも、別の法により営業が規制されることはあり得ますが、現時点でそのような法規制は敷かれていませんので、法的にも営業しても良いです。

レピュテーションリスク(評判低下)の問題は生じる

もっとも、社会的には感染防止の機運が高まっていますので、いまライブハウスを営業してお客さんが集まってしまい、そのライブハウスが感染源ということが世間に広く知られてしまうと事実上営業を続けることが困難になるおそれはあります。

しかし、選択の余地がないとも言える

もうライブハウスを閉じても良いんだと諦めるならともかく、精一杯あがいてみせたい、と思うなら思い切って営業を続けるほかありません。
個人的には感染拡大を防止することが望ましいとは思いますが、それは私の考えに過ぎません。
ライブハウスのオーナーにとっては死活問題であり、閉じると社会的、経済的に死ぬことと同じであるなら国に歯向かっても良いと思います。
国がどれだけ大きな存在で何かを規制する根拠があるとしても「死ね」とまでは言えません。
私も同じ立場になれば国の自粛要請には従いません。

弁護士 芦原修一