ちょこちょこと修正しています。
はじめに
『紛争類型別の要件事実』は司法試験の受験時代から司法修習に至るまで要件事実のメインテキストとして使用していて、弁護士になって10年以上経った今でも読み返せば該当箇所の要件事実の構造が蘇り有用です。
そして今般、約15年ぶりに改訂され三訂として新たに出版されました。
そこで、最新版であり第三版でもある三訂と第二版である改訂の相違点を洗い出すことでいつまでも使える参考書として活かし続けることができると考えました。
初めに目次における相違点を抜き出すことで大まかにどの点が加筆修正されたのかを明らかにします。これは令和3年4月7日の時点で完了しました。
次に、その変更された目次の内容がどのように変わったのかを明らかにし行間を埋めるように説明します。
これは時間がかかるのでいつになるかは分かりませんが早いうちに完了したいと考えています。
内容の変更理由で考えられるのは民法改正、最高裁判例、研修所説の変更です。
最後に、変更された目次の部分以外すべての記述で変更部分があるのかをチェックします。
この記事は試行錯誤しながら作成していますのでその程度のものだというご認識の元、お読みください。
目次における相違点
さて、目次における相違点を洗い出したところ、民法改正によりその変更を余儀なくされています。民法改正を完璧に勉強された方であれば一目瞭然でしょう。ただ、諾成的消費貸借契約については研修所説の変更かも知れません。この辺りは内容の相違点を詰める際に明らかにしたいと考えています。諾成的消費貸借契約は民法改正で新設されました(民法587条の2第1項)。
第1章・第2・4・(4)法定解除のア・イ・ウ
(改訂)
ア 履行遅滞に基づく解除
イ 履行不能に基づく解除
ウ 売主の瑕疵担保責任に基づく解除
(三訂)
ア 催告による解除(履行遅滞)
イ 催告による解除(目的物の契約不適合)
ウ 催告によらない解除(履行不能)
同(5)危険負担に基づく履行拒絶
(改訂)
該当なし
(三訂)
三訂で新たに挿入
第2章・第2・4・(3)消滅時効のア・イ・ウ・エ・オ
(改訂)
該当なし
(三訂)
三訂で新たに挿入
ア 客観的起算点からの消滅時効
イ 主観的起算点からの消滅時効
ウ 時効の更新
エ 時効の完成猶予
オ 時効援用権の喪失
同第3 諾成的消費貸借契約に基づく貸金返還請求
(改訂)
該当なし
(三訂)
三訂で新たに挿入
同第4・5・(3)事業に係る債務についての保証契約の特則
(改訂)
該当なし
(三訂)
三訂で新たに挿入
同第4末尾 消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
(改訂)
貸金返還請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
(三訂)
消費貸借契約に基づく貸金返還請求訴訟における典型的攻撃防御の構造
第7章・第4・1
(改訂)
1 譲渡禁止特約
(1)譲渡禁止特約の抗弁
(2)承諾の再抗弁
(三訂)
1 譲渡制限特約
(1)履行拒絶
ア 譲渡制限特約による履行拒絶の抗弁
イ 履行催告の再抗弁
ウ 承諾の再抗弁
(2)譲渡人に対する債務消滅事由
ア 譲渡人に対する弁済の抗弁
イ 先立つ履行催告の再抗弁
(3)供託の抗弁
同3
(改訂)
3 譲渡人について生じた事由
(1)譲渡人について生じた事由についての抗弁
(2)先立つ債務者対抗要件の抗弁
(3)異議をとどめない承諾の抗弁
(4)悪意・過失
(三訂)
3 譲渡人に対して生じた事由
(1)譲渡人に対して生じた事由についての抗弁
(2)先立つ債務者対抗要件の再抗弁
(3)抗弁の放棄の再抗弁
同6・(4)
(改訂)
(4)債権の準占有者に対する弁済
(三訂)
(4)受領権者としての外観を有する者に対する弁済