退職した従業員に労働審判手続きを申し立てられました。その内容はデタラメなので相手にする気も起らず欠席したいのですが良いですか?
いえ、労働審判手続きにはきちんと対応して答弁書を作成して出席もしてください。
労働審判手続きの申立書は労働者側の代理人弁護士が作成します。
弁護士は代理する人の味方ですので、できるだけ労働者側に有利なように申立書を作成します。
有利な事情は大きく捉え、不利な事情は小さく捉えるか無視します。
労働審判委員会も申立書の内容はすべて正しいとは思わないのですが、会社側に答弁書を作成してもらって出席してもらわなければ、申立書の記載どおりの事実があったとして会社側欠席のまま労働者に有利な労働審判を出します。
労働審判が出たとしても審判書が会社に届いてから2週間以内に異議を出せばその労働審判の効力を失わせることはできます(労働審判法21条1項・3項)。
しかし、異議を出すと同じ地方裁判所に民事訴訟が提起された扱いになり、民事訴訟が始まります(同法22条1項)。
そこでも欠席すれば欠席裁判で労働者側が主張したとおりの判決が出る可能性が非常に高く、その判決を元に差押えを受けて会社の信用が低下するおそれがあります。
また、民事訴訟には出席したとしても労働審判手続きを無視した事実は裁判所の手続きを軽視したものとして会社に不利になるおそれがあります。
こうした流れを踏まえると、労働審判手続きに真剣に対応するべきとなります。
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