労働審判は3回までということですが、何回で終わることが多いのですか?
それはケースバイケースです。ただ、ある程度の傾向はあります。
私の場合で言いますと、1回で終わることが圧倒的に多いです。労働審判は裁判所を舞台とする交渉ですが、1回目の期日で互いの主張は出揃いますので後は金銭的解決で終えようとするかどうかです。
ほとんどの場合、労働者側も会社側も短期での紛争解決を望んでいますので互いに譲歩すれば1回で調停が成立して労働審判手続きが終了します。
会社も人の集合体で感情があるので労働紛争に対する憤りはありますが、同時にビジネスの主体ですから機会損失を考えて感情を押し殺して譲歩することが多いです。
しかし、労働者はそういう計算ができないこともありますので、合理的な解決案が出ても代理人弁護士が説得し切れずに2回目に持ち越しとなることがあります。
ただ、そういう場合でも2回目までに1週間ほど空けばその間に代理人弁護士が説得し労働者も落ち着きを取り戻して2回目で調停が成立することも多いです。
3回目に持ち越されると調停が成立する可能性は減ってきます。互いに譲らないから3回目まで持ち越されているわけでして、調停が成立するとしても互いに渋々でしょう。
調停が成立しなければ労働審判員会による労働審判が出されます。これは判決のようなものです。
これで労働審判手続きは終了するのですが、互いに譲らない状況での手続き終了ですので、どちらかから異議が出される可能性は少なくありません。統計によれば労働審判が出された場合に異議が出されるのは66%、3分の2です。
異議が出されると労働審判は効力を失い民事訴訟に移行します。そうすると、改めて訴訟手続きが始まります。
1回目で手続きを終わらせると決めてしまうと会社側が一方的に譲歩する羽目になりますので、「これ以上の条件なら調停に応じ、それ以下なら応じない」と最低限のラインを設定しておいて労働審判手続きに臨むのが良いと思います。
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