セクハラの申告がありました。飲み会の帰りに男性上司Aが女性従業員Bをバーに誘いそこで酔ったBをタクシーで送っている際に服の上から胸を1回揉むなどしたようです。懲戒処分を検討していますが、どのような処分が適切でしょうか?
男性上司Aにとって有利な事情があれば降格処分、特に有利な事情がなければ諭旨解雇又は懲戒解雇が適切です。
1回きりで服の上からのわいせつ行為とは言え、準強制わいせつ罪(酔って前後不覚な被害者に付け込んだ強制わいせつ行為)にも該当しうる行為ですので悪質性は低くありません。
タクシーの車中とは言え通常タクシー運転手は後部座席の客に文句を言いにくい立場ですので1vs1の状況に準じた状況です。1vs1の状況を利用したセクハラはエスカレートしかねず、女性従業員Bが一人暮らしであればそのままB宅に上がり込みさらなるわいせつ行為を継続しうる状況で悪質性が高いです。
行為時の女性従業員Bは酔っていましたがバーに誘われた時にはまだ酔いは浅いと思われ、男性上司Aの誘いを断りにくかったことを思えば上下関係を利用してこの状況を作ったと言えます。
以上を踏まえると、酔って会社の同僚の前で卑猥な言葉を浴びせるなど歯止めがかかるセクハラ行為とは質が異なり、計画的な面が否めず服の上から胸を揉むという行為に及んでしまっていて今回はたまたまそれ以上の行為に及ばなかったに過ぎません。
懲戒処分には軽いものから重いものまであり、軽いAグループの戒告処分と譴責処分、重いBグループの減給処分、出勤停止、降格処分、諭旨解雇、懲戒解雇があります。
ご質問の件の悪質性を思えばBグループの懲戒処分が適切です。
そして犯罪行為にも該当しかねない行為がなされ、もしこれを他の従業員が知れば動揺は計り知れないことを思えば、降格処分以上の処分が適切です。
もっとも、男性上司Aにとってこれが初めての懲戒処分の検討であり、これまでの勤務態度が良好で、会社への貢献も少なくなく、真に女性従業員Bに対して謝罪し、会社に対しても反省の意を示している、との事情があれば、降格処分に留めることを選択しても良いと思います。
これはわいせつ行為があったとは言え、直接女性従業員Bの肌に触れることはなくわいせつ行為としては相対的に悪質性が高いとまでは言えない点を考慮しています。
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