ミスが続き取引先にも実害を与えてしまった従業員に反省文を書かせようと思いますが良いですか?また、これはどういう懲戒処分に当たるものですか?

 

反省文を書くことを従業員に求めること自体は懲戒処分でなくてもできますので、必ずしも反省文=懲戒処分ではありません。

反省文を書くことを求めることは構いませんが、本人が不服のままに無理やり書かせることは止めましょう。謝罪の意思というのは人の内心にあるものでそこに踏み入って強制的に意思表示をさせる行為は違法とされる可能性があります。

反省文を書かせて提出させる懲戒処分は譴責処分と言います。「けんせき」処分と読みます。始末書とも言いますが文書のタイトルはともかくその内容は、起こしたことと本人の責任、将来への反省で構成されているのが通常です。

繰り返しになりますが、反省文を無理やり書かせるのではなく「何を起こしたか」、「それについての責任」、「将来に向けての反省」の3ポイントを押えて書くように指示をし内容は本人に任せてください。

譴責処分は懲戒処分の中では軽めの処分ではありますが、大変重要です。
後々もっとひどいことをした場合に懲戒解雇、普通解雇を検討することがあるかもしれません。
その場合、これまで懲戒処分を受けたことがなければそれを理由に解雇無効とされるおそれがあるのです。
ちょっとしたことだから口頭での注意に留めておこう、と甘くしてしまうと後々に悪影響があります。

譴責処分よりも軽い懲戒処分として戒告処分があります。戒告処分は口頭又は書面での注意指導です。仮に戒告処分として口頭での注意指導であっても、単なる口頭での注意と異なり懲戒処分歴になりますので意味があります。しかし、証拠として残りにくいのでできれば書面での戒告処分とした方が良いです。

反省文を本人の自由意思に任せて書かせることは有益です。それは証拠としての価値が上がるからです。
戒告処分の場合、書面で処分したとしてもその書面は会社名義であり実際にそこに記載された事実が存在したかを争われると厄介です。
しかし譴責処分の場合、本人名義の反省文が作られますので、事実の存否自体が争いになることは減ります。

そして本人が処分に不服で反省の意を示さなかったとしても、実はそれはそれで会社にとって有益なのです。
なぜなら、反省せずに問題行動を繰り返した場合、懲戒解雇又は普通解雇をすることを検討しますが、その解雇の有効性が争われた場合に「反省しておらず改善の余地がないから解雇は有効」となることが多いからです。

もちろん、従業員として社内に留まる以上、反省してもらえればそれが一番ですが反省していなくてもそれが証拠として残ることは会社の法的リスクのヘッジとして有益ということなのです。
 

 
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