退職済みの元従業員が在職中に不正を働いていたことが発覚しました。退職金を支払ってしまっていますが返還を求めることはできますか?
ご質問のように退職金を支払ってしまってから在職中の不正が発覚することは珍しくありません。
この場合の対応について検討します。
就業規則又は退職金規程などにこのような場合の返還規定がある場合、退職金の返還を求められます。
もっとも、退職金は賃金後払いの性格と功労報償的な性格を持つとされていますので、その功労を抹消するほどの行為がなければ全額不支給とするのは難しく、多くの裁判例では30%は支給するよう命じています。
つまりこの場合ですと70%の退職金の返還を求めることができます。
最新の裁判例でも30%の退職金を受け取る権利を認められています。
「読売新聞オンライン 郵便局員が定年6日前に懲戒解雇、地裁が退職金3割支払い命じる」
とは言え、すべてのケースで30%の退職金請求権が元従業員に認められるわけではないので、最初の請求は100%の返還を求めましょう。
仮に返還規定がなかったとしても、退職前に退職金不支給事由が発覚していたら退職金を支給していなかったであろう場合、その元従業員には退職金を受け取る権利がなかったこととなります。
権利がないのに受け取ったのでその元従業員に対して不当利得返還請求をすることができます。
こうした場合に備えて、就業規則等で退職金不支給事由を定めておき、退職後に不正が発覚した場合には返還する義務があることを明記しておきましょう。
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