懲戒処分のうち出勤停止はどの程度の行為があれば有効な出勤停止とされるのでしょうか?

 

 
裁判例を見てみましょう。

児童養護施設で職員が小学2年生の女児を頭で殴った事案で東京地裁は次のように述べて3日間の出勤停止処分を有効としました(大阪地裁平成27年1月30日判決)。
「①原告が、入所児童の成長と発達のために協力して業務の遂行に当たったり,愛と共感の心で児童に接したりすべき責務を負っているにもかかわらず、一方的に女児Aの頭を叩いたこと、②児童養護施設としては、職員による児童への暴力に対しては厳正に対処する必要があること、③原告は、一貫して女児の頭を叩いた事実を否定していて、反省の態度が存在しないこと、④本件処分は出勤停止3日を命じるもので非常に重い処分ではないことからすれば、本件処分が重きに失し、社会通念上相当性を欠くということはできない。」
同僚への暴力でも出勤停止3日は有効とされると思われるので、児童養護施設で児童の頭を殴れば出勤停止3日は有効でしょう。

年度下半期貢献度評価表を提出しなかった等を理由(懲戒事由)としてした5日間の出勤停止処分について東京地裁は「期限を3週間以上経過して提出した評価表はルールに従ったものではなかったので再三再四再提出を命じられ4回も再提出したがそれでもすべてルールに従ったものではなく、出勤停止処分は適切な処分である。」として有効だと判断しました。

解雇や継続的な減給を伴う処分とは異なり出勤停止はあくまでも一時的な無給を伴うに過ぎませんので、基本的に裁判所は会社の裁量を認めます。
したがって、明らかな違法行為(暴力等)や業務命令違反行為があれば基本的には有効な出勤停止とされるでしょう。
後は、出勤停止の日数が対象行為の悪質性と比較して長過ぎないようにしておくことです。
一般的な目安としては4日以上2週間以内に留めておくべきでしょう。
 

 
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