懲戒処分には出勤停止の処分がありますが、何日くらいの出勤停止が適切なのでしょうか? ケースバイケースでしょうが目安を知りたいです。

 

 
出勤停止は減給処分よりも重い懲戒処分として位置づけられています。
出勤できないこと自体で重い懲戒処分なのですが、減給処分よりも減給の程度が軽いと懲戒処分としてのバランスが悪くなります。
そして、減給処分は1ヶ月あたり10分の1の減給が上限とされています(労働基準法91条)。
1ヶ月10分の1ということは3日に相当しますので出勤停止の下限は3日を超える4日以上とするべきです。

そして、20日間の出勤停止命令について最高裁は次のように述べました(最高裁昭和58年9月16日判決)。
「被上告人は、実力を行使して工場構内に入構しようとし、そのため多数の警備員に傷害を負わせ、更に工場内のベルトコンベアを停止に追い込んだ。そして、これを偶発的なものとは評価できない。実力をもって出勤停止命令を破りあくまで就労しようと試みる被上告人と、これを阻止しようとする警備員らとの間でもみ合いとなるのは必然的であり、その過程で警備員が負傷する可能性のあることは被上告人にも当然予見できたことである。」
このように述べて最高裁は20日間の出勤停止命令を有効だとしました。
これは懲戒解雇の前提としての出勤停止命令であり、その懲戒解雇も有効とされた事案です。
警備員らを負傷させることは傷害罪に当たり、工場内のベルトコンベアを停止に追い込んだことは威力業務妨害罪に当たります。
このくらいの懲戒解雇が相当な悪質な行為があってはじめて20日間の出勤停止命令が有効とされるのですから、通常の出勤停止では2週間を限度としておいた方が良いでしょう。

したがって、行為として社会性を逸脱し懲戒解雇を検討するほどのものでない限り、出勤停止の日数は4日以上2週間以内を目安としてください。
 

 
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