固定残業代として毎月7万円を支払っているので、何時間残業させても残業代を支払わなくても良いですか?
いえ、そうとは限りません。
その固定残業代の定めが法的に有効だったとしても、基礎賃金に照らして7万円分を超える残業時間があればその超過分を支払わなければなりません。
なお、最近は固定残業代の定めが有効とされる要件が厳しくなってきました。その要件は次のとおりです。
①固定残業手当により割増賃金を支払うことの合意があった。
②基本給と固定残業手当が金額で明確に区別されていた。
③どれだけの残業時間の対価としての固定残業手当かが明示されていた。
④予定されている残業時間が45時間を超えていない。
⑤基本給および固定残業手当がそれぞれ最低賃金を下回っていない。
①について、通常は採用時に結ぶ労働契約で明示することが多いです。
②について、給与明細で明示されているかがポイントです。
③について、20時間、30時間、40時間など明確に固定残業代に対応する時間が示されていなければなりません。
④について、月の法定残業時間は45時間が上限ですので、③の時間が45時間を超えていたら固定残業代の定めは原則として無効となってしまいます。これは超過分だけではなくすべての部分について無効とされるのが原則です。
⑤について、例えば月給の額面が22万円だとして固定残業代を10万円とすると基本給が12万円となりますが、これで法定の160時間就労すると1時間当たり750円となり東京都の最低賃金額を大きく下回り無効となります。
また、月給の額面が25万円で固定残業代が45時間で4万円とすると基本給は21万円ですが、基本給の部分は最低賃金額を上回っているものの固定残業代の部分は最低賃金額を下回りますので無効となります。
このあたりの細かい計算については弁護士に相談してください。
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