解雇した従業員が「解雇無効だ」と訴えてきました。仲の良い従業員によれば既に新しい会社に転職済みとのことです。それでも解雇が無効になることがあるのですか?
はい、解雇が無効とされることはあります。解雇の有効性は解雇の時点での有効性なのでその後の事情に左右されません。
ただし、新しい会社に転職済みという情報は会社に有利になります。
解雇が無効とされるとどういうダメージが会社に来るかは次の2点です。
① 解雇した従業員を復職させなければならない。
② 解雇から現在までの給与を支払わなければならない。
ご質問のケースでは、①の復職をその従業員が望むのか疑問です。解雇と転職の時期が近ければ近いほど復職を望んでいないと見られます。
また、実際に労働審判や民事訴訟で争っているときに新しい会社に転職済みという事実が明らかになれば、そもそも解雇無効確認を請求する基礎が失われて仮に解雇が無効とされたとしても会社の金銭的なダメージは少なく済みます。
こうした新しい会社に転職済みという事情がない通常の場合、②のとおり解雇から現在までの給与を支払わなければなりません。これをバックペイと言います。
しかし、転職済みで復職の意思はないということなら、どれだけ多くとも解雇から転職の時点までの給与を支払えばそれで足ります。
ただし、単に再就職しただけで直ちに復職の意思がないと認定されるわけではありません。転職済みでも辞めて再度復職すれば良いからです。転職済みでその会社の方が待遇が良いなどの事情があれば復職の意思がないと認定されやすいです。
以上のとおり、ご質問のケースではそれだけで解雇が無効になることはありませんが、会社に有利な結論が導かれることとなります。
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