解雇した従業員が「不当解雇だ!」と争ってきました。もし解雇が無効とされるとどうなるのでしょうか?

 

 
労働審判や民事訴訟で解雇の有効性が争われた結果、解雇が無効と判断されることがあります。
解雇が無効ということは、初めから解雇がされなかったとみなされます。
解雇がされなかったということは、今も会社の従業員の身分を失っていないということです。
したがって、会社にはその従業員を復職させる義務が生じます。

次に、従業員の身分があると会社には給与の支払い義務が生じます。
ノーワークノーペイの原則により就労していない従業員に対しては給与を支払わなくても良いのですが、解雇無効の場合は違います。
法的に見ると、「解雇してから今まで従業員が就労していないのは、無効な解雇をした会社に責任があるから民法536条2項本文により、会社にその間の給与支払い義務が生じる」ということになります。
これをバックペイと言います。

以上により、解雇が無効とされると次の効果が生じます。
 ① 従業員を復職させる義務
 ② 解雇から現在までの給与の支払義務

①の復職についてですが、実はほとんど実現しません。なぜでしょうか。
それは、解雇の有効性を争って互いに弁護士を就けて労働審判や民事訴訟で戦った後に、「解雇無効だからまた一緒に働きましょう。」とは互いになりにくいからです。
そこで、これについての解決方法として会社が和解金を支払って自主退職することにします。

この和解金の相場についてケースバイケースなのはもちろんですが、およそ給与の3ヶ月分から1年分の範囲に収まることがほとんどです。
また、2020年に入ってからの傾向ですが、若干和解金の相場が下降気味だと感じます。つまり会社にとっては有利なことです。
 

 
この回答をご覧になっても解決に至らない場合には、お気軽にお問い合わせください。

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