問題のある従業員に対して退職勧奨をしてその日の内に退職届を書いてもらおうと思いますが、それで良いでしょうか?
いえ、その日の内に退職届を書かせるのは良くありません。
問題があるからといって直ぐに解雇をするより退職勧奨をした方が良いのはそうなのですが、退職勧奨をしたその日に退職届を書かせることは避けるべきです。
なぜなら、退職勧奨からの自主退職について退職の意思を後で争われると、「真意に基づいた退職の意思」がなかったとされるおそれがあるからです。
真意に基づいた退職の意思があったとされるためには次の点にご注意ください。
① 退職勧奨を多数回又は長時間しないこと。
② 心理的な圧迫を与えないこと。
③ 退職するほかないと誤信させないこと
①について、執拗に退職勧奨をしたとするとそれに根負けして仕方なく退職届を書いたと認定されかねません。
②について、多人数で退職勧奨をする、大声で威圧するなどすると、それに怯えて退職届を書いたと認定されやすくなります。
③について、ご質問のように退職勧奨をしたその日に退職届を書かせると退職届を書く以外の選択肢がなかったと認定されるおそれがあります。また、「退職しないと給与を大幅に減額する」などと告げれば結局は退職以外に選択肢がないので真意に基づいた退職の意思がなかったとされやすくなります。
自主的に退職してもらうために何らかの条件交渉をすることは許されます。例えば退職金を上乗せするとか、給与3ヶ月分を与えるとかして退職届を書いてもらえればそれで真意に基づいた退職の意思が認められやすくなります。
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