沖縄タイムズ社の従業員が持続化給付金を不正受給したことで懲戒解雇されましたが、この解雇は有効だと思いますか。

 

 
私は有効だと思います。

持続化給付金はコロナウイルスの影響で事業継続が困難になった事業者を支援するためのもので、会社から給与をもらっているサラリーマンを支援するものではありません。
そうであるのにサラリーマンが事業者を装って不正受給をしたということは責められるポイントです。

次に、不正受給というのはどこか軽い語感がありますが要は詐欺罪が成立しています。どれだけ反省して被害弁償をしたところで詐欺罪の成否には影響ありません。

そうすると、沖縄タイムズ社がこの従業員を懲戒解雇したのはもっともだと思われそうです。

ただし、注意すべきは沖縄タイムズ社の社会的信用が低下したか、その社会的信用を低下させた発表方法はどのようなものであったかです。

この件、実名報道はされておらず終始「沖縄タイムズ社の従業員」という報道でした。
実名報道がされていなくても沖縄タイムズ社の従業員が不正受給に手を染めたということが報道されれば沖縄タイムズ社の社会的信用は低下します。

しかし、本件の報道の発端は沖縄タイムズ社自身の発表に依るものでした。自社で発表しておいて自社の社会的信用が低下したことを理由として懲戒解雇をするのはいかがなものか、と一息入れて考えるのことは会社側の労働問題に向き合ううえで大切なことです。
そこでこの件がどのように発覚したかを調べると、どうやら外部から沖縄タイムズ社に通報があったようです。
つまり、既に外部に知られていたということですね。
そうであれば沖縄タイムズ社がこの従業員のプライバシーに配慮して発表を控えるということは期待できないわけでして、自社による発表に至ったということです。

このコロナ禍において持続化給付金を不正受給するという詐欺行為を自社従業員が行なったということで沖縄タイムズ社の社会的信用はかなり低下しました。
そしてこの詐欺行為は故意犯ですので情状も悪いです。
そうすると仮にこの従業員が反省をして全額返金したとしても懲戒解雇が相当だと思います。
これを懲戒解雇にしなければ社会からの批判が収まらないでしょう。

以上によれば、本件のように自社による発表で自社の社会的信用が低下したとしても、それを理由にした懲戒解雇は有効であると判断します。
 

 
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