振替休日と代休とはどういうものでしょうか? 違いを教えてください。
これは給与計算に関わってきます。
給与計算を社会保険労務士事務所にすべて任せていれば把握していなくても良いですが、残業代について紛争になった時は争点になることもありますので、説明します。
振替休日とは、休日と定められていた日(法定休日及び所定休日)をそれらの日が到来する前に労働日として、その代わりに労働日を休日とした日のことを指します。
つまり、休日と労働日(平日)を事前に交換する制度と言えます。
これに対して代休とは、事前の手続きを経ずに事後的に休日と労働日(平日)とを交換するものです。
つまり、急遽会社の指示により休日に就労をさせ、その代わりに労働日(平日)を休日にする制度です。
まず、振替休日も代休も休日出勤が前提となりますが、これをさせるには次のいずれかが必要です。
① 就業規則等に休日出勤命令について記載されていること。
② 36協定により法定労働時間を超えて休日を減らしての労働について取り決められていること。
これら①か②のいずれかがなければそもそも休日出勤命令をすることができません。
もっとも、これらがなかったとしても従業員が任意に休日出勤命令に従うことが大半でしょう。
それは望ましくないことではありますが、実際に労働をしたならばそれに従って給与計算をしなければなりません。
次に、振替休日と代休に共通する制限として、1週1休日の原則(労働基準法35条1項)の制限があります。
これは例えば土日通して展示会が開かれたとして就労した場合、所定休日の土曜日と法定休日の日曜日の両方が労働日となってしまうため、このままだと1週間の休日がゼロになります。
もう少し説明しますと、6月1日が月曜日だとして6日(土)と7日(日)が展示会であった場合、6月1日から7日までの1週間に休日がないのです。
そうすると36協定で1週1休日の制限を外していない限り違法となってしまうので、事後的に休日を設定することができません。つまり代休は使えません。
したがって、この場合は振替休日により事前に6月1日(月)から5日(金)までの間に最低でも1日の休日を設定しておかなければならないのです。
この場合に代休しか使えないとなると土日のうち1日は休日のままにしておかなければならないということです。
さて、振替休日と休日の違いは次のとおりです。
① 振替休日は就業規則等に記載していなければならないが、代休は記載不要。
② 振替休日の場合の賃金は通常どおりだが、代休の場合の賃金は休日労働として35%の割増賃金を支払わなければならない。
こうして見てみると、休日出勤の必要性が高い会社においては、36協定を締結しつつ就業規則で休日出勤命令の根拠を明確にして振替休日を可能にしておくべきです。
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