就業規則における懲戒処分の手続きの整備をしたいのですが、どういう点に注意すれば良いでしょうか?
懲戒処分の手続きは就業規則に記載しておくものです。
懲戒処分の手続きが始まるということは従業員が何か不祥事を起こしたということです。
そこで、その起こったであろう不祥事について本当にその事実があったのかなかったのか、という点から調査を始めます。
調査担当者は不祥事を起こした従業員本人を初め関係者から聴き取りをして事実の存否を確認します。
そこで、調査担当者はある程度社内外での経験が豊富で、中立公平な立場を意識でき、事実が確定するまでは決め付けをせずに冷静に調査を進められる人が適任です。
大きな会社であれば人事部長、総務部長が、小さな会社であれば代表取締役が、調査担当者を指名し調査開始を命じるよう、就業規則に定めておきます。外部の弁護士を指名することも考えられるので、調査担当者の資格を社内従業員に制限しておかない方が良いです。
なお、指名者が加害者とされた場合の次順位指名者も決めておきます。
調査担当者に調査権限を与えるのと同時に、全従業員に対して調査協力義務を課しておきます。
そして調査担当者は従業員のプライバシーに踏み込むので、調査担当者に守秘義務を課し仮に代表取締役から求められても従わないことを明記しておきましょう。
次に、懲戒処分をするかどうか、するとしてどういう内容にするかを決めなければなりません。
これらを決定する機関を定めます。懲戒委員会という名称で良いです。
1人では独断になり多数決の場合に備えて3人以上の奇数人数としてください。
後に公平な判断がされたと評価されるには、外部の人間を1人以上入れておくのも良いでしょう。
例えば取締役を懲戒委員とするとして、懲戒委員の多数決で外部の者を懲戒委員として懲戒委員会に加えられるとするのも良いと思います。
懲戒処分の判断基準はケースバイケースなので細かくは決められませんが、「会社秩序を乱した程度、会社に与えた損害の程度、取引先に与えた損害の程度、会社の社会的信用を低下させた程度、過去の懲戒歴、被害者の感情、本人の反省の程度、などを総合的に考慮して判断する。」と明記しておき、そのとおりに審査を進めてください。
本人に弁明の機会を与えておかないと後に懲戒処分が無効になることが多いです。
したがって、懲戒委員会で懲戒処分を決定しすぐに申し渡すのではなく、事実が確定したらその後で弁明の機会を与えて本当にその事実があったのか、なかったとするとどういう合理的な説明をするのか、あったとするとどのように受け止めているのか、状況に応じて本人がしたいように弁明をする機会を与えるのです。
十分な弁明がなされた後に、正式に懲戒処分の内容を決定します。もちろん事実がなかったとして懲戒処分をしない決定をすることもあります。
以上が懲戒処分の手続きの進め方ですので、それぞれを実施できるよう就業規則で定めておきましょう。
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