懲戒処分には戒告処分から懲戒解雇まで段階がありますが、何をしたら戒告処分、何をしたら懲戒解雇という目安のようなものはありますか?

 

 
懲戒処分には、戒告処分、譴責処分、減給処分、出勤停止、降格処分、諭旨解雇、懲戒解雇があります。これらは軽いものから重いものへと並べています。

これだけの懲戒処分の種類があり妥当な懲戒処分を決める要素は複数ですので、一概に「これをしたら〇〇処分」という定型的なルールはありません。

まず、戒告処分と譴責処分は対象者に具体的な不利益が生じませんが、減給処分以上の懲戒処分は具体的な不利益が生じます。
これら両者は対象者に与えるインパクトの質が異なりますので、分けて考えましょう。
何か不祥事が起こったときにはこれら両者のどちらが妥当なケースかを検討することになります。
戒告処分等をAグループ、減給処分以上をBグループとしまhそう。

不祥事というのは質と量でその悪質性が判断されます。
懲戒処分は会社秩序を乱したことについての制裁ですが、悪質性の程度により処分内容を決定するべきですので、不祥事の質と量を見極めることとなります。

実際に告訴するかはともかくとして犯罪行為が成立したかどうかは一つの判断基準となります。犯罪行為が成立すればBグループの懲戒処分を検討することとなります。それに付随して被害の大小、会社の社会的信用の低下を踏まえて懲戒処分の内容を決めてください。

社会的信用の低下という要素は重要です。何か不祥事が起こり報道されたら取引停止となることもあり得ます。会社に対する背信行為ですので犯罪行為でなくてもBグループの懲戒処分を検討して良いです。

同僚に対する暴言は少なくありませんが、身体的に攻撃するのではないのでこれが長期に渡り被害者がPTSDに陥るような実質的に身体的に攻撃したのと同等な場合を除いて、Aグループの懲戒処分を検討してください。

遅刻を繰り返したとしても、無断欠勤よりは悪質性は低いのでAグループの懲戒処分を検討してください。これが長期に渡り遅刻を繰り返していたとなるとBグループとするべきと思われるでしょうが、遅刻はその日のうちに明確になるものなので注意できるはずですしある段階で懲戒処分の検討が可能ですので原則としてはAグループの懲戒処分が適切です。

配転命令に従わないことで懲戒処分を下す場合は配転命令の有効性がポイントとなるので、事前に弁護士に配転命令の有効性について判断を仰ぐべきです。配転命令に従わない従業員に対してはBグループの懲戒処分をすることが予想されますので、それだけに慎重に進めましょう。

数日間の無断欠勤は、14日以上の無断欠勤より量的に悪質性が低いので降格処分以下の懲戒処分となります。重要な取引があるにも拘わらずそれを知って無断欠勤したのであれば降格処分が妥当することもあります。無断欠勤で出勤停止というのはどこか座りが悪い懲戒処分なので避けても良いかもしれません。後から聞いた欠勤理由により戒告処分、譴責処分、減給処分のうちのいずれかとしてください。

懲戒処分の対象者が初めて懲戒処分を受ける場合には、対象行為の悪質性が著しく高い場合を除いて、軽めの懲戒処分としてください。労働審判手続きや民事訴訟では「初回の懲戒処分でありこれまで勤務態度に問題はなかったのであるから…」という理由で重い懲戒処分が無効とされることがよくあります。

逆に過去に懲戒処分歴がある場合には、重い懲戒処分を下しても良いです。特に同種の行為の場合には反省せず改善の余地もないとして懲戒処分が有効とされやすいです。

以上を一応の目安として懲戒処分の内容を検討してください。
 

 
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