懲戒解雇の流れを教えてください。
事実関係の確認のため、本人と関係者から聴き取りをする。
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客観的な証拠がありそうならそれらも集める。
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2人以上の言い分に矛盾がある場合には客観的証拠を軸にどちらの言い分が合理的かを判断する。
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こうして事実を確定した後、懲戒事由の該当性と懲戒解雇の相当性を検討する。
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同様の事例で社内では過去にどのような処分をしたかを調査する。
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本人の反省の姿勢、被害弁償、謝罪の有無などの情状を考慮して、どのような処分をするかを仮決定する。
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本人に解雇理由を通知して改めて弁明の機会を与える。
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本人の弁明を聞いて最終的な処分内容を決定する。
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本人に対して解雇通知書を渡す。
懲戒解雇を検討するということは会社にとってとんでもないことを従業員がやらかしたのですが、そういった行為があったとしてもその日のうちに処分して良いものではありません。以下のとおりに検討をして手続きを踏んでからでなければ処分できないのです。もしこれを無視して処分してしまうと、後から懲戒解雇が無効だとされる可能性が高くなってしまいます。
まず確認するべきは就業規則の懲戒事由の項目です。ここに並んでいる懲戒事由に当たらなければ懲戒解雇をすることができません。ただし、直接当たらなくても懲戒解雇をすることができる可能性があります。
それは、「その他、前項までの事由に類似する行為」という項目が最後にあるはずですが、会社秩序を大きく乱した場合にはこの項目に当たるとして懲戒解雇をすることができるのです。もっとも、果たしてこれに当たるのかは法的な判断ですので弁護士に相談するべきです。
次に、懲戒事由に当たるとしても懲戒解雇とするのが相当でなければ、懲戒権の濫用(労働契約法15条)とされて懲戒解雇が無効とされます。
相当性の判断はケースバイケースです。よく考慮されるのは次の要素です。
・初回の懲戒処分か、2回目以降か。
・これまで注意指導がされて反省改善の機会を与えられていたか。また改善の余地はないか。
・会社に実害が生じているか。生じるおそれか。
・対象者に弁明の機会を与えたか。
・普段から素行が悪いか、普段は真面目に仕事をしているか。
この回答をご覧になっても解決に至らない場合には、お気軽にお問い合わせください。