懲戒解雇について、実名を社内外で公表しても良いですか?
社内か社外か、どこまでの情報、公表の方法によって許容範囲が異なります。
懲戒解雇をしたことを誰かに知られるということは、本人のプライバシーに関わってきます。
プライバシーによって保護されるのは、私生活について一般人であれば知られたくない事柄ですが、懲戒解雇をされた事実は知られたくないのが普通ですのでプライバシーにより保護されます。
しかし、このプライバシーが完全に保護されるということはありません。
社内での公表について、会社秩序を乱したからこそ懲戒解雇とされたのですから、その会社秩序を乱した者がどういった処分を受けたかを他の従業員が知りたいというのは合理的であり、秩序の回復にもつながります。
したがって、社内では実名での公表は許されると解されます。
社外での不特定多数への公表、例えば会社のウェブサイト上における公表については慎重になるべきです。
懲戒解雇とした理由が会社の社会的信用を低下させたのであれば、低下した社会的信用を回復させる必要がありますので、社外での公表は許されます。
しかし、不特定多数への公表は、懲戒解雇に関係ない多くの人々への公表となりますので、特別な事情がない限りは匿名での公表に留めるべきだと考えます。
もっとも、取引先や顧客などで懲戒解雇とされた本人と直接に関係があったところから照会を受けたら、その関係先の限りで実名を伝えても差支えはありません。そこで胡麻化すと取引停止や契約打ち切りなどの二次被害が出かねないので、そこは何も隠さず真摯に謝罪する場面です。
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