従業員に対して懲戒解雇を含めた懲戒処分を検討していますが、その従業員から弁明の機会に自身の代理人弁護士の同席を求められています。これを受け入れる必要はありますか?
懲戒手続きにおいて対象者に弁明の機会を与えることが就業規則に記載されていればもちろん、記載されていなくても弁明の機会を与えることは懲戒解雇の相当性を基礎付けるうえで重要です。
ご質問では代理人弁護士の同席を求められています。
この代理人弁護士の同席が対象者の権利として就業規則等に記載されていれば、その申し出を受け入れなければなりません。
しかし、そのような記載がなければ同席を認めるべき法的義務は会社にはありません。
仮に同席がなければ対象者が弁明の機会を放棄した場合でも、そもそも弁護士の同席は法的義務ではないので弁明の機会を与えなかったとされることはありません。
もっとも、対象者側の弁護士を同席させたならばその弁明の機会は対象者にとって有益なものとなるため、後に懲戒処分の有効性が争われた場合に懲戒処分の相当性の判断について会社側にプラスになると思います。
弁明の機会に対象者の代理人弁護士の同席を許す場合、その弁護士のペースで手続きが進むことを避けるために会社側も弁護士を同席させて攻撃的な介入に備えましょう。
この回答をご覧になっても解決に至らない場合には、お気軽にお問い合わせください。