在籍従業員から残業代請求を受けました。それと同時に「他の従業員にはこのことを知らせないように」と代理人弁護士から言われています。よく分かりませんが、これに従うべきなのでしょうか?
ご質問は、残業代請求をすることがプライバシーとして保護されるかという問題です。
結論として保護されません。
なぜなら、この残業代請求は在籍従業員から会社に対してなされたものであり、会社がどのように対応するかは会社の自由だからです。対応の一環として他の従業員に知らせて対応させることを制限されるいわれはありません。
もっとも、これをプライバシーとだけで捉えるのではなく、交渉の要素として在籍従業員の弱みと見ることも考えられます。
なぜ残業代請求をしたことを他の従業員に知らせて欲しくないのかを考えると、今後会社を直ぐに辞めるつもりがないか、辞めるとしても他の従業員との友人関係を継続させたいからです。残業代請求をするような面倒な人間だと思われたくないのでしょう。
そうすると、この場合の交渉方針は「他の従業員には黙っておくからサッサと和解に応じてくれ」というもので良いです。
未払い分よりも低い金額で和解に応じるよう交渉を進めるのです。
そのためには他の従業員に知られない方が良いです。弱みはそれが実現してしまえば(この場合他の従業員に知られてしまえば)弱みではなくなるからです。
つまり、ご質問の場合はプライバシー云々で考えを巡らせるよりも、交渉を有利にする材料と捉えた方が良いということです。
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