弊社では就業規則で「他社の取締役に就任してはならない」と定めています。ある従業員が家業の会社の取締役であることが判明しました。この定めを適用して辞任を求めるべきでしょうか?

 

 
ご質問の場合、その従業員が家業の取締役であることは「他社の取締役に就任してはならない」に違反し就業規則違反です。
これが仮に入社前から取締役であったとしても「…就任してはならない」には「取締役であり続けてはならない」を含みますので、就業規則違反は違反です。

では、その従業員に対して取締役の辞任を求めるべきかが問題となります。
そして、その求めに従わない場合に懲戒処分をすることができるかが次の問題となります。
求めに従わない場合に制裁できなければ求めることは無意味なのでまず懲戒処分の可否について検討します。

懲戒処分は会社の秩序維持のための制裁罰ですので、会社の秩序を乱した場合にのみ懲戒処分をすることができます。
家業の会社の取締役であることが貴社の業務遂行を阻害して会社の秩序を乱すかについて、通常は会社の秩序を乱すことはないでしょう。
もっとも、業務時間中も必要に応じて家業の会社の業務をするなど実質的に兼業状態であれば貴社の業務遂行が阻害されますので、会社の秩序を乱していると評価できます。

したがって、単に登記上の取締役であり家業の会社の業務を貴社の業務時間中には従事していなければ、懲戒処分をすることができません。
その逆に、実質的に兼業状態であれば懲戒処分をすることができます。

以上のとおり、懲戒処分をすることができそうな場合には取締役の辞任を求めるか、貴社の業務時間中にその業務に従事しないことを求めましょう。
そしてその求めに従わない場合には懲戒処分を検討してください。
 

 
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