就業規則は周知しなければならないそうですが、周知とはどこまですれば良いのでしょうか?
労働基準法106条により、就業規則は次のいずれかの方法で従業員に知らせなければなりません。これが周知の方法です。
① 作業場の見やすい場所に掲示又は備え付け
② 直接交付
③ 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
①と②は就業規則をプリントアウト又は原本をコピーしたものを使います。
③は、最近ですとDVDに保存した就業規則をいつでも閲覧できるようにしておくか、サーバーに保存した就業規則をいつでも閲覧できるようにしておくかのいずれかで良いと思います。この場合に注意しておくべきなのは、アクセス方法を全員に知らせておくことです。いつでも閲覧できるようにしておいてもアクセス方法を知らせておかなければ周知したと言えません。
会社オフィスの形態、業務形態にも依りますが簡易なのは③のサーバーでの保存です。
なお、「各店舗の店長に申し出れば、いつでも本件就業規則を閲覧することができたというような取扱いは、実質的に見て事業場の労働者集団に対して、本件就業規則の内容を知りうる状態に置いていたものと認めることはできない」とした東京地裁平成30年4月18日判決があります。
ただし、この事案は「申し出ればいつでも閲覧できる」ということを周知していなかったものであり、その点を周知徹底していれば結論が変わったかも知れません。
せっかく就業規則を作っても周知していなければ就業規則のあらゆるルールを適用できません。就業規則は隠すものではないので積極的に周知していきましょう。
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