会社を清算して畳もうと考えています。従業員がいますが、清算手続きの中で自動的に処理されて退職扱いになるのですか?
いえ、清算手続きには従業員を自動的に退職させる機能はありません。
清算手続きが完了する前に解雇しなければなりません。
会社の精算は経営上の判断ですが、そうした経営上の判断を理由とした解雇を整理解雇と言います。
清算手続きにおける解雇も整理解雇の一種ですが、清算手続きという特殊な状況なので有効とされる要件は異なります。
整理解雇の要件は次のとおりです。
① 人員削減の必要性
② 解雇回避努力義務
③ 人員選定の合理性
④ 手続きの相当性
しかし、清算手続きは会社を清算し消滅させますので、解雇を回避することはできず、人員を選定することもできないため次の2要件に変わります。
① 事業廃止の必要性
② 手続きの相当性
①については、会社の株主が清算手続きで事業を廃止することは自由なので、認められないことはありません。
ただし、従業員を解雇して別の会社を起こすなどの偽装解散であれば認められません。
②については、次のような事情が考慮されます。
・説明会を開催して事情を説明したか。
・再就職のあっせんをしたか。
・事前事後に話し合いをしたか。
・経済的手当ての有無(退職金の増額など)
・解雇通知から解雇までの期間
これらのどれが不可欠の要素ということはありませんが、事情の説明と話し合いの有無が重視される傾向にあります。ただこれも、事業廃止の必要性が切迫していれば説明や話し合いがなくても解雇有効とされています。
以上により、清算手続きの中で従業員らについて自動的に処理されて退職扱いになるわけではないものの、清算手続き中の解雇ということで手続きさえ適正に進めれば解雇が有効となります。
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