清算手続きを進めて会社を解散させ従業員を解雇したいと考えています。この場合、解雇の要件として事業廃止の必要性が求められますが、その内容について説明してください。
清算手続きにおける解散に伴う従業員の解雇について、その解雇の有効要件の1つとして「事業廃止の必要性」を満たさなければなりません。
多くの裁判例では、2年以上赤字が続いていること、現金残高が乏しいこと、業績回復の見込みがないことで事業廃止の必要性を認めています。
赤字が続いているかどうかは、決算書の中の損益計算書で判断されます。
損益計算書の中でも純損失や経常損失よりも営業損失が重視される傾向にあります。
なぜなら、営業損失は営業体制を根本的に変えなければ回復できないからです。
2年以上赤字が続いているか、というのはあくまでも目安であり単に赤字が続いていたとしても数十万円なら経営を逼迫する赤字とまでは言えませんし、逆に単年度であっても数千万円の赤字であり業績回復の見込みがなければ事業廃止の必要性が高いと言えます。
例えばある裁判例では、直近3年連続で営業損失が生じていて特に当年度は売上が前年比で70%にまで落ち込んでいて、人件費が販売管理費の80%以上を占めていたことをもって事業廃止の必要性が認められました。
単年度でも大きな赤字があれば事業廃止の必要性が認められることがあると申し上げましたが、業績回復の見込みがないことを別途証明しなければならないので、できれば2年以上赤字が続いていることをもって業績回復の見込みがないことを合わせて証明する方が会社側としては証明の負担が少ないです。
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