1人の従業員に誤って先々月に給与額を2万円高く振り込んでしまいました。今月振込分は2万円差し引いて支払っても良いですか?

 

 
労働基準法24条1項本文は賃金の全額払いの原則を定めています。
したがって、ご質問のように先々月に2万円高く振り込んだ過払い分を今月振込分から相殺できるかが問題となります。

判例では、「過払いがあった時期と近い時期に」、「多額ではない額を」、「労働者に告知して」相殺することは構わないとされています。
賃金全額払いの趣旨は労働者の生活を困窮に陥らせないためです。

近い時期というのは高く振り込んだ分の影響が残っている内なら相殺しても生活は困窮しないということです。
多額でなければ生活は困窮しません。
労働者に告知すれば生活の調整を柔軟にすることができるでしょう。

ご質問の場合は、2ヶ月という近い時期であり、2万円と多額ではないので相殺前の早い時期にその従業員に告知すれば今月振込分から2万円差し引いて支払っても良いです。

なお、労働者に事前に同意を得られれば以上のように悩むことなく相殺しても良いです。
ただし、この場合の同意は自由意思に基づく同意であることを要しますので、無理やり同意させたのであれば同意は無効とされますのでご注意ください。
 

 
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