競業会社への転職禁止規定は就業規則でどのように定めれば良いのでしょうか?

 

 
結論からは、就業規則だけでは個別のケースに対応できないので、就業規則にベースとなる規定を置いて個別の従業員について退職時に競業避止義務に関する誓約書を取るのが適切です。競業避止契約とも言います。

原則としてどの会社で働くは労働者の自由ですので、転職を過度に制限する規定は無効とされます。
したがって、競業会社への転職禁止の程度は限定的に定めなければなりません。

店舗主体の会社で退職者が店舗担当者なのであれば「同じ市内」、「各店舗から半径2キロ以内」など距離的な限定をして、その範囲外の会社への転職は自由だという建付けにしてください。
店舗担当者は会社の中では地位が高くなく、それだけに転職の自由が保護されなければならないと解されています。

なお、店舗担当者ではなく経営に多少でも関わるマネージメント側の従業員が退職するのであれば、その職責にも依りますがそれなりにノウハウを持っているとみなされ、距離的制限がなくても規定は有効だとされやすいです。
ノウハウを持っているということは元の会社からどれだけ離れていても経営戦略、営業戦略の点で元の会社で得た知見を活かして競業会社を成長させられるからです。

制限期間は2年以下だと有効にされやすく、2年を超えると無効とされやすいです。
しかし2年でも無効とされることがありますのであくまでも参考程度に留めておいてください。
これも平の従業員と幹部社員とでは制限できる期間に差があります。
平の従業員が競業会社で活用できる知見の質と量はそれほど高く多いものではないので長い期間の制限を掛けなくても良いのに対し、幹部社員のそれは競業会社で長期間活かせるものが多いのである程度の期間制限が必要です。

競業禁止の範囲として元の会社の顧客のみを禁止する規定は有効とされやすいです。
無限定なのであれば独自のノウハウがありそのノウハウを得られる地位にあったことを要します。

以上のとおり、距離制限、制限期間、競業禁止の範囲が要素ですのでこれらについて退職者個別の地位と経験に対応した競業避止契約を締結することとしてください。
 

 
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